シンプルで豊かな日々

映画「国宝」の感想。美しさの裏側にある質素さ。全振りすることの大切さ

つい先日、「国宝」という映画を観に行きました。

 

普段はほとんど映画を観ることはないのですが、

わたしの周囲の人が「国宝」は絶対に観るべきだと

かなりオススメされたので滅多に行かない映画館へ足を運ぶことに。

 

 

結論、めっちゃくちゃよかったです。

これは絶対に映画館でみるべき映画。

 

 

圧倒的な歌舞伎のシーンだったり、

役者さんの舞台裏の緊張感、葛藤、

迫力ある息づかいは

映画館でしか味わえない最高な体験でした。

 

 

わたしはテレビを持っていないので、

ニュースやトレンド情報は

Youtubeか、自然な会話の中で得ることが多いです。

 

で、そんな仙人のような私の生活の中でも

映画「国宝」を人づたえに知りました。

 

 

これは何かの啓示かもしれないと思い、

映画館に足を運ぶことになったのです。

 

 

そして映画を見終わって印象に残ったのが2つ。

①1つの道を極めし者の狂気

②人間国宝の私生活は質素で芸事に全振り

といったところですね。

 

映画「国宝」あらすじ

 

ざっくりとあらすじ。

李相日監督が「悪人」「怒り」に続いて吉田修一の小説を映画化。任侠の家に生まれながら、歌舞伎役者として芸の道に人生を捧げた男の激動の人生を描いた人間ドラマ。

任侠の一門に生まれた喜久雄は15歳の時に抗争で父を亡くし、天涯孤独となってしまう。喜久雄の天性の才能を見抜いた上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎は彼を引き取り、喜久雄は思いがけず歌舞伎の世界へ飛び込むことに。喜久雄は半二郎の跡取り息子・俊介と兄弟のように育てられ、親友として、ライバルとして互いに高めあい、芸に青春を捧げていく。そんなある日、事故で入院した半二郎が自身の代役に俊介ではなく喜久雄を指名したことから、2人の運命は大きく揺るがされる。

引用:https://eiga.com/movie/101370/

 

最初は、歌舞伎役者の映画なのかー。

と、そこまでは食いつきが良くなかったです。

 

なんだか歌舞伎って、敷居が高そうじゃないですか?

セリフも何言っているわからないし、

ストーリーもよくわからない。

 

伝統芸能ってのは知っているけど、

自分には関係がない世界のように感じていました。

 

ただ、予告動画を見て一変。

テーマ曲も含めて全てが圧巻。

予告編だけでも、吉沢亮と横浜流星のストイックな役作りが伝わります。

 

これは見に行くべきだと思い、

普段行かない映画館へ足を運ぶことにしたのですよね。

 

後先がない状況の主人公

 

極道の親を持つ、主人公の喜久雄ですが

ヤクザ同士の抗争で親を亡くしてしまいます。

 

その後は、歌舞伎役者の花井半二郎に引き取られて

歌舞伎役者を目指すことに。

 

生みの親はいないし、身よりもない。

生きるには歌舞伎役者になるしかない状況。

 

そりゃあ、歌舞伎の稽古のシーンは体罰もあり厳しいです。
(今の時代には厳しい稽古は理解されないかも)

 

でも、歌舞伎を極める以外には

道を断たれているので、

やるしかないのです。

 

自分には向いているとか、向いていないとか関係なく

やるしかない。

 

後先がない状況は人間の成長にはかなり有効。

 

わたしも高校時代は、卒業後は就職しようと考えてました。

でも、世界的な不況と重なり希望していた会社から採用を見送られました。

 

社会情勢の悪化によって進路が立たれたので、

後先ない状況で進学するために猛勉強した思い出があります。

今となってはいい思い出です。

 

 

やるしかない状況を作るのは、

思っている以上に難しい。

 

年齢も30歳を超えてくると

なんとなくリスクを避けがちになりますね。

 

安定した収入があると後先がない状況に追い込まれることはそうそうない。

 

映画「国宝」は、目標に向かって

がむしゃらに努力した記憶を引き出してくれました。

 

【ネタバレかも】道を極めしものは、私生活は質素

 

ストーリー中に事件があり、

主人公の喜久雄が歌舞伎界から追放されます。

 

生活費を稼ぐため、ドサ周り営業の日々。

営業先の客に殴られ、酒に溺れて生活が荒れていきます。

 

そんな心身ともにボロボロの中、

人間国宝の小野川万菊から自宅に招かれます。

 

万菊「あなた今までどこにいたんですよ?」と、問いかける。

 

90歳を超えた小野川万菊は引退して隠居生活しており、

人間国宝とは思えないようなボロボロの安アパートに

ほぼ寝たきり状態で生活。

 

万菊「ここには美しいものがなにもないでしょう」
「もういいよって言われている気がして」

 

この言葉が、万菊の人生を表していようでした。

 

歌舞伎の舞台上では美しさを追い求め続けたが、

私生活は孤独で質素、美しさも華やかさもない。

 

小野川万菊は、芸以外を全てを捨てている世捨て人。

少年時代の主人公に「化け物」と言わせる狂人なのです。

 

一方、舞台上の美しさを生涯かけて追い求め続けたからこそ

最期に求めたのは「質素な安らぎ」だったのかもしれない。

 

道を極めし者は、シンプルさを求めだす。

 

常軌を逸する者たちが最終的に求めるのは、

究極的なシンプルさではないだろうか。

 

それは、貧乏とか貧相であるとかではない。

 

何かに特化しているからこそ、

他のものには興味がなくなる。

 

もしくは、ストイックに道を極める先に

安らぎとしての質素さかもしれない。

 

解釈は人の数だけあるでしょう。

 

わたしは映画「国宝」で現代社会を

生き抜くためのマインドを学ばさせてもらいました。

 

これは芸能だけってことではなく、

特技・スキルを身につけるためには

環境そのものを尖らせる必要があること。

 

●後先がない状況

●道を極めしものはシンプルさを求める

 

ミニマリズムは、道を極めしものの最終形態なのかもしれないですね。